
こんにちは!
ペーター=ルーカス・グラーフ
皆さんご存知のフルーティスト、私は中学生の頃レコードでいろいろと聴きました。
クリアな音色でバロックから現代曲まで幅広く演奏して日本でもファンが多いと思います。
THE FLUTE vol.166 に登場
ザルツブルク音楽祭は毎年夏に行われる音楽の祭典。
モーツァルトやカラヤンの生まれた静かな美しい山間の街です。
そのザルツブルクにあるモーツァルテウム音楽院では夏期国際セミナーが開かれ世界のトッププレーヤーからレッスンが受けられました。
私は大学を出てすぐに参加する機会に恵まれ、グラーフから直接指導を受けたのが30年近く前のこと。いろいろと学んだ中で特に印象的だったのはブレスのトレーニングでした。
グラーフ自身が毎朝、目が覚めたらベッドの中で必ず行っているというエクササイズを毎日セミナーの始まりに受講生全員で一緒にやりました。
息がなくなるまで吐き切って、それでも吐こうとして2~3秒キープ。
それから脱力すると一気に空気が肺に入ってくるというもの。
始めは楽器なしで、何度かやったらフルートで。
グラーフいわく
これで自分の演奏は全く変わった
その数年後、そのマスタークラスでのワークがびっしり詰まった「チェックアップ~フルートテクニックの総点検」が海外版で発売、しばらくしてからシンフォニアから国内版が発売されました。
楽器をコントロールする技術がしっかり且つコンパクトにまとめられており、現在でも自分の演奏と指導の両方で大変役に立っています。
さて、89才のグラーフが今でも演奏活動を続けられているのは日頃の訓練をしっかり行なっているからだと推察しています。歳と共に筋力が低下するのは自然な事。その中で自分は何が出来るのか、どれだけ出来るのか。自分の身体と相談して訓練をする事で、今の自分でどう演奏するかが組み立てられる。本当に素晴らしいお手本です。
指揮者、ピアニスト、ヴァイオリニストで高齢の巨匠が演奏活動をしているのはよく知っていますが、息をガッツリ使う管楽器でそれをやっているのは本当にすごい事だと思います。
音楽に対して真摯に取り組む姿勢。
本当のgentlemanですね
みなさまの音楽のために
フルート奏者
アレクサンダー・テクニーク教師
大熊克実