
こんにちは!
先日フルーティストの上野星矢さんがメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲・フルート版を演奏しているテレビを見ました。
プログラム
ベルリオーズ「ロシアの謝肉祭」序曲
幻想交響曲
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲(フルート版)
コンダクターは炎のマエストロ小林研一郎さん、オーケストラは東京交響楽団。
番組ではそれぞれの曲のハイライトが流れました。上野星矢さん、三枝成彰さんと小林研一郎さんのインタビューもあり、幻想交響曲が作曲されたエピソードやメンデルスゾーンのリハーサルも放送されていました。
ご存知の通り、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はイントロからすぐにソロが始まります。ベートーヴェンやブラームスの協奏曲は「これ交響曲?」と思わせるくらいオーケストラだけで1分以上演奏してからヴァイオリンが入ってきますが、メンデルスゾーンは1小節目から真打ち登場です!
リハではフルートが入ってすぐに止まりました。
これはとても珍しいことです。
そしてすぐにマエストロは星矢さんに
「上野さんね、僕とっても素晴らしいと思うんですけど、ヴァイオリンの連中ってココとってもタイトに弾くじゃないですか。何か、、、本当に、、、フルートのためじゃないんだホントに、って思われるの嫌なんですよね。少〜し余裕が音の流れの中に来ると嬉しいんだけど」
と感想を話し終わると絶妙な間ですぐに「入りまーす」
と言って演奏を始めました。
フルートが入り「そうそう、そうだと嬉し〜い!」とマエストロは声をかけ、喜んで演奏をされていました。
私はその演奏に思わず「ブラボー!」
と涙目になりながら言ってテレビに向かって手を叩きました。
本当に先程の演奏とは全く別の、深い表現に変化していました。
マエストロの音楽に対する真摯な態度と鋭い感性
片やすぐに反応して表現してくれるフルーティスト
真の音楽家同士が心から素晴らしい一瞬をカメラがとらえた瞬間でした。
そして実は、オーケストラのイントロも始めとは全く別物の、深〜く心にしみる演奏になっていたのはさすがでした。それもフルートを誘導していたんです。
音楽は対話であり、心と心のつながりなんですね。
素晴らしいものを見せていただきました!
みなさまの音楽のために
フルート奏者
アレクサンダー・テクニーク教師
大熊克実