
こんにちは!
吹奏楽コンクールの季節
出場する団体の多くは「金賞」目指して練習をしています。という事は「賞を取るために練習する」とも言えますね。
賞というある種の優劣をつけるのがコンクールである事は否定できません。そうして日本の吹奏楽は発展してきました。
では、音楽は勝ち負けや優劣を付けるものでしょうか?
音楽は太古より自然や人間と共にありました。喜び、悲しみ、祈りの心などほとんどの感情を表してくれます。
このような感情を表すことを評価する事ができるのでしょうか?
芸術は時代によって変化していきます。春の祭典をモーツァルトの時代に書く人はいないでしょうし、現代に交響曲を100曲も書いている作曲家を私は知りません(いらっしゃるかもしれません)。
作品には時代や地方などスタイルが存在します。それは演奏する人が調べて準備をする必要があります。そうする事で作品の本質に近付き、イメージを音を通して表現できます。
このイメージを表現するために「楽器を操る練習」が必要になります。
大きな音を出す練習は「大きな音を出す練習」でしかありません。スケールをできるようにする練習は「スケールをできるようにする練習」でしかありません。「練習のための練習」をしています。
一方、この曲のこの場面でこんな風に吹きたいから、その音をロングトーンなどで練習する。これを「表現の練習」と言います。
この曲のスケールをスラスラと吹きたいから、教則本のスケール練習をする。これを「表現の練習」と言います。
つまり「表現の練習をする事が練習」なんです。
金賞を取るためだけに練習をするのは、もしかしたら大切なものを忘れているのかもしれません。
作品を知って自分の感性と向き合い「どう吹こうかな」などと考えてみる。そして「こう吹きたい」とはっきり思えれば、それに向かって表現の練習ができます。これが本当の音楽ではないでしょうか。
心がワクワクしていたらきっと納得のいく演奏ができます。練習でも本番でも。そのための準備は大変でも自ら進んでいけます。仲間たちと音楽について語り、信頼関係を深めることでワクワク度が増えて音楽の彩りがより豊かになっていきます。
暑い夏、ワクワクな7分間・12分間のためにじっくり自分の心と向かい合い、練習の時から自分の音楽を奏でてくださいね。
みなさまの音楽のために
フルート 大熊克実
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